Super源さんの音楽ブログ

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食品添加物の歌?「チクロ事件」のあとに発売されたリンジー・ディ・ポールの「シュガー・ミー」

今日は、ちょっと趣向を変えて、「食品添加物にまつわる曲」というテーマで行ってみたいと思います。


写真は、こちらからお借りしました。

1969年に「チクロ事件」が社会問題に

1969年に、日本で食品添加物のひとつであるチクロの安全性が社会問題となりました。
当時、チクロ(*1, *2)は果物缶詰の甘味料として多用されていたため、多くの缶詰製造業社が倒産や廃業に追い込まれました。
これが、「チクロ事件」あるいは「チクロ騒動」と呼ばれるものです。

「チクロ事件」の4年後に発売された、リンジー・ディ・ポールの「シュガー・ミー」

さて、その4年後の1972年に発表されたイギリスのシンガーソングライター、リンジー・ディ・ポール(Lynsey De Paul)の自作のデビュー曲『シュガー・ミー(Sugar me)』を聴くと、この食品添加物騒動が、日本だけでなく世界的なものだったことが分かります。

ただし、こちらはチクロではなく「サッカリン(*3)」が歌詞の味付けに使われています。

シュガー・ミー/リンジー・ディ・ポール

「シュガー・ミー」の歌詞の内容は?

この曲の歌詞は、女友達とその彼氏の間に立つ「私」が、現在の三角関係を終わらせて、友達の彼氏を自分のものにしようと誘惑する、という内容です。

Looking sweet and all the while
Hid behind the smile was saccharine
I'm a go-between
甘そうだけど ずっと
微笑みの後ろに隠れていた サッカリン
私は二人を取り持つ役目

この曲の全歌詞はこちら

この部分を読むと、[人工甘味料=偽りの甘さ] から、微笑みながら二人の間を取り持っている「私」の姿は偽りで、本当は楽しい状態でないことが分かります。
だから「私に本当の砂糖の甘さをください、幸せをください」という意味で Sugar me (私を砂糖で甘くして)と歌っているのでしょう。

「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉がありますが、この「シュガー・ミー」は、まさにそんな世相を反映した曲なのですね。


*2.チクロは、アメリカのアボットラボラトリー社で開発された、サイクラミン酸ナトリウムという物質で、最盛期には30万トンも生産されました。
※1.チクロは、米国・日本では使用禁止となっていますが、ヨーロッパ・カナダでは使用されています。
※3.サッカリンは、現在世界的に使用されています(日本では、明治の頃に禁止、戦争で砂糖が足りなくなり復活、昭和40年代にまた禁止、10年もたたないうちに「少量ならば良い」とゆるい規制つきで復活)。

参考にしたサイト
http://www.eigo21.com/03/pops/158.htm